『大人の為のお題 set2-013』:Sweet Night


※ご注意
カルロ×蘭世カップル、というパラレルな設定で書いています。
(拙宅長編:『パラレルトゥナイト』ご参照下さい)




『Sweet Night』





あなたに出逢うまでは誕生日は家族だけで祝っていたのだけど
今はこの人の側にいて。 
私が生まれてから何年目かの今日のこの日 それは華やかにパーティを開いてもらった
勿論私の家族も招いて貰って
学校へ通いだしたから沢山の友達も居て
ダークの知り合いで私の知らない人も沢山招かれていた

みんなに・・そう、それはそれは沢山の人に祝って貰って なんだかくすぐったくて
照れくさいな

でも そうして御祝いしてくれる皆に
そしてその皆が居てくれることに 
皆と出会うきっかけをくれたおとうさんとおかあさん そしてダークに
私は感謝しているの

広い部屋の壁際に 私へのプレゼントが山のように積まれている
こんなにも沢山の愛に 私が応えられるのかしらとひるむけど
そんな不安をつい 口にしてみると
”その謙虚さが有れば 十分にこの贈り物を受け取る資格がある”って
謎かけみたいにダークが私に言うの
・・・なんとなく だけど その言葉でちょっと安心する・・・

そして今夜も 私はあなたの側にいられる それが何よりも 幸せ





今日はランゼの誕生日

愛しい娘のために私は盛大なパーティを催した
ごく普通の家庭に育った彼女は その華やかさに戸惑いを隠せない様子で
それでも素直に嬉しいと笑顔を見せる彼女に 私は謙虚さと優しい心とを見いだした
はにかむその清楚な娘に わたしは思わず引き寄せ額に口づける

彼女は私が今までにあったどの女とも違う
そして私とランゼの間になにがしかの大いなる運命が働いていることも確信している
この娘と出会えた運命を 私は神に感謝している



パーティの夜は更け喧噪もやがて止み ふたりきり
ランゼは今 私の腕の中に

ブランケットの中で素肌を寄せ合うことにまだ慣れないようで
恥ずかしげな顔と桜色の頬をして それでも小さな勇気を奮い立たせて
私の体に細い腕をまわして 胸にそっと耳を当てる仕草をする
「こうやってると すごく安心するの・・」
自分に寄り添ってくれる彼女を愛おしく思う
初々しいその仕草一つ一つに 私は酔わされる

妖しいほどにすべらかな肌をして 触れるたびに彼女の体に流れる魔性の血について
つい 想いを馳せてしまうのだが
彼女のおもてからはそんな印は少しも見えなくて ただただ純粋なる少女で
そのアンバランスさも私を惹きつけているファクターの一つなのかも知れない

「今日は本当にありがとう。私 とても幸せ・・・」

飾らないシンプルな言葉のほうが より心に響く
私も今夜は あまり語らない

「ランゼ。誕生日おめでとう」
あらためて私がそう言うと ランゼは顔をあげ にっこりと微笑む
「うん。ありがとう!・・ダークに言ってもらえるのが やっぱり一番嬉しいな・・えへへ。」
そう言った後で やっぱり照れて顔を赤くするランゼ
その笑顔にはあどけなさが残る
そんな彼女がどんな女性に成長していくのかも 私のこれからの楽しみの一つ

未来のことは判らない
だが まるでしおらしい娘のように 来年も またその次の年も お前のために
誕生日を祝わせて欲しいと 今 私は願う

太陽も 星も 月も 全ては私のもの
ランゼ。それを全てお前に捧げても良いと 思っている
そう、あっさりと認めよう 私はお前に溺れているのだと・・・ 
詩人のような言葉が脳裏に浮かび ふ としのび笑う

流れるようにつややかで長い黒髪に指を滑らせ その瞳を捉えて口づけを交わす
寄り添い安らぎを得られる幸せが手元にあることを 未来永劫大切にしていきたい
これからも・・・


end.



蘭世ちゃん、誕生日おめでとう! : 2005/07/27    悠里

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