『甘い生活』:8888ゲット記念


ここはルーマニア、カルロの屋敷。
早朝、カルロは私室のベッドで目を覚ました。
今日は久しぶりに休暇の日、とカルロは決めていた。
彼の腕の中には・・・今年20になったばかりの若妻、蘭世がまだ
すやすやと寝息を立てていた。
「・・・」
カルロは蘭世のその無防備な寝顔を見るのが好きだ。
元々かわいらしい彼女だが20歳になり、そこはかとない色気が備わって
きていた。あまずっぱい青りんごが赤く甘く色づいてくるようだ。
それでも、その寝顔はまだまだあどけない雰囲気だ。
「ん・・・」
そっとその桜色の唇を塞ぐと、眠り姫はゆっくり目覚めていく。
「あ・・おはよう・・あなた・・」
蘭世は眠たげな声ととろんとした表情のままにっこり。
カルロも微笑んでもう一度キスをする。
そして。
二人の視線がひとつの場所へ向かう。
「もう起きたかしら・・?」
そこには、ベビーベッドがしつらえてあった。
中には、待望の二人の赤ん坊がいる。
黒髪に・・・緑の瞳の女の子で、名前をオルヒデイといった。
それは、ルーマニア語で”蘭の花”を指す言葉だ。
カルロがそれを選んで名付けたのだった。

蘭世はベッドから起きあがり、少し恥ずかしそうに裸の胸を隠しながら
ベッドサイドにたたんであったガウンに手を伸ばし、それをはおった。
オルヒデイはとても親孝行で、夜一度眠りにつくと朝までぐっすりなタイプだった。
おかげ?でカルロは夜の蘭世を”再び”独り占めできていたのだ。

蘭世が立ち上がり、ゆるくウェーブをかけた黒髪を揺らす。
子供を産んだとは思えないような細く華奢な身体である。
だが以前の若木のような幼い雰囲気から胸や腰回りに柔らかな、艶のあるラインを
描くようになってきていると、カルロは感じていた。

「まだ眠っているわ・・お寝坊さんね」
ベビーベッドをのぞき込んで蘭世は微笑む。
そろいのガウンを身に纏ったカルロも隣に並び、蘭世の肩を抱く。
眠る娘を嬉しそうにながめながら蘭世はカルロに寄り添う。
そして、カルロも二人に似て美人の娘にいとおしげな視線を送っていた。


昼下がり。

日本の江藤家から温州みかんが3箱届けられていた。
2箱は部下達に少しずつ配られ、
残る1箱を蘭世がキッチンへ運んでいた。
「本当はね、10箱くらい送って親戚の皆さんにもお配りしたら良いと思ったんだけど
ちょっと予算が無くてね、今回は勘弁してね〜」
そう言って、電話口で椎羅がちょっと困ったように、でも明るく笑っていた。
「また明日オルちゃんのお顔を見に行くからねー」

「はーい あーん」
蘭世はダイニングでベビーラックに座る娘に笑顔で向かい合っていた。
幼いオルヒデイに蜜柑を離乳食としてあげるつもりだったのだ。
やわらかいうす皮もとり、中の実を粗くつぶしてスプーンで掬う。
キャッキャと喜びながらオルヒデイはその蜜柑を食べている。
手をばたばたさせて”もっと、もっと頂戴”とおねだりをしているようだ。
「うふふ、おいしいよね!よかったわ・・・」
カルロは雑誌を読む手を止め、それを目を細めて眺めている。
夫の視線に気づき、蘭世は微笑み返す。
「オレンジもおいしいけど、日本のみかんはね
とっても離乳食に向いていると思うのよ。
やわらかくって、甘くって、優しい味・・・」
そう言って蘭世はにこにことカルロに笑顔を向ける。
「そうだな、美味しそうに食べている。」
「あなたも召し上がる?・・・丁度何個か持ってきているの」
カルロは蘭世が差し出すそれを一つ手に取る。
食べ方・・・と言うほどでもないが蘭世から教えられたように
カルロもその小さな果実の皮をむき始めた。
蘭世も一緒にオルヒデイに食べさせつつ自分の分の蜜柑もむき始める。

「さっ、ごちそうさまね・・・あなた、ちょっと見ていて下さる?」
蘭世はオルヒデイをカルロに任せ、離乳食の食器を片づける。
カルロがそっと高い高いをすると、オルヒデイはまた嬉しそうに
手足をバタバタさせる。
「・・・こら。」
抱き寄せるとカルロの肩に少し流れている後ろ髪を
小さな手で掴んで引っ張って悪戯をしていた。
「ありがとうあなた・・お部屋に連れていくわね。」
蘭世は夫から娘を受け取り抱き上げ、ダイニングを出た。
私室へ向かう妻に、カルロはついていく。
「さて・・・おむつの様子はどうかしら?」
寝室のベビーベッドにオルヒデイを下ろそうと腕を伸ばしたとき。
その後ろから開いた腕の下へ伸びる大きな手があった。
カルロが蘭世を後ろから抱きしめたのだ。
そして、彼女の耳たぶをそっと甘がみする。
「きゃ!」
「柔らかく、甘く、優しい・・・」
続いて首筋にキスを降らせる。
カルロから先ほどの蜜柑の甘い香りが漂う。
「あなた、オルヒデイがまだ・・・」
蘭世は少しうろたえ、抗議する。
それを受けてカルロが下へ視線を送る。蘭世がそちらを見ると、
ベッドに降ろした赤子はすでにすやすやと安らかな寝息を立てていた。
カルロが妖しい術を使って眠らせたのか、偶然なのかはわからない。

「今度、また夜会に出席しよう・・・オルヒデイはお留守番だ」
「まあ・・・」
「よく似合いそうなドレスを見つけた。今度一緒に見に行こう」
カルロと蘭世が出かけるときは大抵、椎羅がオルヒデイの世話を買って
出てくれていた。
ジャルパックの扉でいつでもひとっとびだ。

蘭世の耳元で夜会の約束をした後、カルロは蘭世を抱いてベッドに向かう。
蘭世をベッドに横たえ、口づける。そして上からその細い身体を眺めていた。
「立派なバストだな」
「んーもう。・・今だけ、かもね」
すこし恥じらう蘭世。
母乳を与えている蘭世の胸は2サイズは大きくなっていた。
その大きな胸にカルロは顔を埋める。
先ほどオルヒデイにお乳を与えたばかりなのでそこは柔らかく、そして温かかった。

「んん・・・っ」
出逢った頃と変わらない恥じらい。
でも少し大胆な事を要求しても、顔を赤らめながらもそれに応える彼女。
カルロはそんな蘭世がいとおしくてたまらなかった。

・・・カルロ家に跡継ぎの男の子が産まれるのも、そう遠い未来ではない。


おわりv

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みかん箱様のリクエストは、
『20歳になった蘭世とカルロの日常』
ということでしたv

幸せなお話を書くと、私もほんわかしてきます。
さらにすこし色っぽい要素も忘れてなかったりして・・・えへへ

みかん箱様、ありがとうございましたv
末広がり8888番ゲットの記念に、どうかご笑納下さい。 悠里




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