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『約束』:悠里作:『JUST ANOTHER LIFE』様再録


「幸せにする。 必ず してみせる。」


クリスマスも近づいたある日。
俊と蘭世は 婚約の報告をしに 魔界を訪れていました。
俊の母、そしてアロン達に挨拶をして 皆に見送られたあと、ぶらり ぶらりと
歩きながら 二人で帰路についていました。

「ねね、ちょっと回り道しない?」
久しぶりの魔界。
蘭世はちょっといたずらっぽい笑顔で俊を寄り道へ誘います。

「・・あの場所か?」「うん、正解!」

薄い霧が細く流れる 幻想的な小道を 二人は並んで進みます。
その辻を曲がったその先の森の中に、あの泉があるはずです。

二人は泉のそばに並んで腰を下ろしました。

いつしか霧は晴れ、温かい日差しがその泉に差し込んでいました。
水面はそよ風とともにきらきら きらきらと輝きます。

「きれい・・・」

いつかと 変わらないその風景。
「前来たのは・・・アロンの結婚式の時だったかしら」
「そうだな・・」
きらめく水面を おだやかな表情でながめている俊の横顔を見て
蘭世は一層嬉しくなるのです。

明るくて 穏やかなその風景を眺めていて 蘭世は ふいに いつかの
天上界での出来事を思い出しました。

地の石を手に入れるために 巨大な石像と戦って
そのとき人間だった私たちは その崩れる石像の下敷きになったのよね
そして 気が付けば 天上界へ召されていたんだっけ・・・
でも 私たちは死んだのではなく 呼び出されたのだったわ。

花の香り満ちあふれる 優しいその空間で。

『いま われわれのまえで そして蘭世の前で誓うんだ 蘭世を幸せにすると』

そう カルロ様に言われて。
私は もうほんとに恥ずかしくてビックリしたのだけど。

「幸せにする。 必ず してみせる。」

真壁君は 私を見つめながら そう皆に宣言してくれたっけ。

ああ、そうなんだ。
そして 真壁君は その約束をこうして守ってくれたんだ。
ありがとう もう とても幸せ!
(ついに あこがれのゴールインが間近にせまったのね・・・)

そんな幸せ一杯の想いに浸りながら 蘭世は彼の肩にちょこん、と額を寄せます。
「えへへ・・・」
涙もろい蘭世は感激の余り ぽろり ぽろりとうれし涙を零します。
「どうしたんだ?」
「ごめん・・嬉しくて つい・・」

「まだだよ」
「え?」
蘭世は俊の 突然の否定の言葉に驚きます。

「今がゴールじゃない。これからなんだ」

蘭世が見上げた俊は きりりとした表情で 水面へ視線を投げかけています。
「俺がカルロ達との約束を守るのは これからなんだ。
・・・お前を幸せにするっていう約束を果たすためのスタートラインに
俺は今やっと立てた様な気がしているんだ」

蘭世はその彼の言葉に胸を打たれます。
(真壁君・・!すごいよ かっこいいよぉ・・・!)

真壁君も ちゃんとあの”約束”を覚えていてくれていた。
そして
真摯で
真面目で
こんなに私のことを思ってくれるなんて。
今とても幸せなのに 真壁君はもっと先をも見てくれている・・・

・・って ちょっと待ってよ真壁君。

「また私の思考読んだのね もう!」
蘭世は俊の肩から ぱっ と身を起こしぽかぽかと彼を叩く真似をします。
「あっ やべっ・・て お前もっと静かに思考してくれないか つい聞こえるんだよ」
ぷうっとむくれた蘭世を俊はちらっと見てから 赤い顔をしてまた水面へ視線を戻しました。
「・・・ふふ。」
蘭世は照れた彼の横顔をそっと見やり 日だまりのような温かい笑顔になりました。

”幸せのスタートライン。”

「真壁君 ありがとう ほんとにありがとう・・・嬉しい・・・」
蘭世はもういちど 大きな肩に額を寄せます。
「私も真壁君を一杯幸せに出来るようがんばるから。 これからもよろしくね・・!」
「・・・」

振り向いた真摯な顔と 喜びに満ちあふれる笑顔。
次第に 見つめ合う二人の影は重なって
お互いの幸せを約束するキスを交わすのです。

遙か天空から二人を見下ろす 優しい眼差し達に見守られながら・・・

・・・魔界を 優しい風が通りすぎて行きます・・・




了。






−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あとがき。

ときめき小説を書き始めて1年以上になるにも関わらず
俊&蘭世を書くのは これで漸くの3度目・・・
しかもこんなに純粋な俊蘭を書いたのは初めてです(自爆)

どんなカップルを書いても 私は つい甘甘になるのだなと 
気づいた今回でした。

そして、しずく様に清いカルロ&蘭世を先日頂いた私
清い俊&蘭世を書いてみたくなったのであります。

にしても 俊と蘭世のラブストーリーに目の肥えた皆様には
物足りないと思われそうでございます;
お目汚し 失礼いたしました・・・・    悠里

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