☆:このお話は『Please Find Me』と 対になっています。比べてみても面白いかも。
「私を探さないで下さい。」
朝起きたらこんな書置きを残して彼女がいなくなっていた。
一瞬「何が起こったのか」私にはわからなかった。
昨日まで普通に一緒に暮らしていたはずなのに。
特に喧嘩をした覚えもない。
昨日もいつもどおり仕事を終えて家に帰った。
家に帰るとランゼは「お帰りなさい」と微笑んでくれた。
特に何も変わらないはずだった。
・・・・・いや、昨日は彼女の「話」を聞かなかった。
朝出掛けに彼女が「話したいことがある」といっていた。
その時私はとても急いでいたので「話は夜に聞くよ」といって出かけてしまった。
そしてそのまま「話を聞くこと」を忘れていた。
彼女は一体何を私に話したかったのだろう・・・・・・
「とにかく」
私は彼女の居場所を探すことにした。
オロオロと心配そうに横に控えていたベン=ロウに心配するなと言い残し、
私は寝巻きを着替え、顔を洗い、そのまま家を飛び出した。
「カルロ様、朝食の支度が出来ておりますが・・・」
という部下の声が背後から聞こえたような気がした。
だが、ランゼと一緒でなくては朝食をとる気にもなれなかった。
一体ランゼはどこに行ってしまったのだろう。
私はまず、江藤家に連絡をとることにした。
彼女が行きそうな場所といえばまずは実家だろう、と思ったのだ。
けれど、その期待はアッサリ裏切られた。
電話をしてみると「ランゼは帰ってきていない」とモーリが教えてくれた。
何があったのか聞きたげな雰囲気が電話の向こうから伝わってきた。
けれど、私はその気配に気付かない振りをして電話を切った。
いつも一緒に行くホテルのカフェにも、ランゼが気に入っている秘密のバラ園にも彼女はいなかった。
私は途方にくれていた。
探す当てのあるところは全部探した。
二人で行った旅行先やランゼの友人の家。
どこにも彼女はいなかった。
後はどこを探せばいいのだろう。
私は握り締めてグシャグシャになってしまったメモをもう一度開いてみた。
「・・・???」
そこには豆粒ほどの小さな文字でこう書かれていた。
「二人の思い出の場所で待ってます」
二人の思い出の場所・・・・????
「ランゼ!!!ようやく見つけた」
「カルロ様・・・」
二人の思い出の場所、彼女がいたその場所は何と私たちが結婚する前に、
私が独りですんでいた「家」だった。
二人が初めて出会った場所。
「ランゼ・・・・なぜこんなところに」
「ごめんなさい。黙って出てきてしまって」
私は思わず彼女を抱きしめた。
とにかく彼女が愛しくて仕方なかった。
「カルロ様・・・」
いつしかランゼは泣いていた。
私は彼女の涙をそっと拭った。
「あのね、カルロ様。私・・・・私・・・・」
「もう何も言うな。私が悪かったのだ」
「どうして??」
「お前の話を聞かなかった」
「ごめんなさい。」
「だからなぜ謝る」
「私、カルロ様にもっと構って欲しかったの」
「・・・・」
ランゼの心の奥に触れたような気がした。
彼女はもっと私と一緒にいたいと思っていたこと。
だが、あまりにも私が忙しそうなためにそれを言い出せなかったこと。
そのために、私の気を引きたくてこのような事をしでかした事。
私はランゼの気持ちにいままで全く気付かなかった。
「すまない・・・ランゼ」
「謝らないで、私が悪いんだから」
「いや。お前は悪くない。私がお前の気持ちに気付けなかったのが悪かった。
今後はもう少しお前と一緒にいる時間をつくろうと思う。」
「カルロ様・・・!!!」
ようやくランゼが笑ってくれた。
私はランゼの笑顔を見てとても幸せな気持ちになった。
了。
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あとがき
話のまとまりがつかなくなってしまいました(汗)
たまにはカルロ様の慌てた姿が見たい!!!!
そんな気持ちで書いてみたのですが・・・・・
あまりうまく表現できませんでした。
せめて「カルロ様がいかにランゼちゃんにベタ惚れか」ということだけでも
表現できていればいいなぁ・・・・と思ってます。
美波
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悠里よりコメント:
”もしも 蘭世ちゃんが書き置きを残して出ていってしまったら・・・!?”
これは私にとって実に新鮮なテーマでありました。
もうもう この企画して本当に良かった・・・(感涙
しかも美波様に再びカルロ&蘭世 書いていただけて 嬉しい管理人です〜
心の内は慌てていても、この御方は なかなか外面に現れないですからねぇ
でも、蘭世ちゃんが”自ら”出ていってしまうなんて
カルロ様も相当動揺したに違いないです。美波様一本!!
しっかり慌てているの 伝わりますよ〜!
そして、蘭世ちゃんのなんと可愛いことかv
こんなわがままだったら 許しちゃいますよねvvv
甘甘ラブラブで、とても素敵でしたv
美波様、本当にありがとうございました! 悠里