#今回は、青池保子先生の「Z」とうちのカルロ様&蘭世ちゃんをコラボしてみました。
#従って、今回の「Z」氏は本当に(笑)NATO情報部のエーベルバッハ少佐の部下ツェット君です。
##Z君について何もご存じない方も楽しめるように書いたつもりですが
##多少は・・・その・・・ご勘弁を;
(1)27th.November−1
「・・・」
その青年は古びたホテルの一室で目を覚ました。
年季の入ったベッドは身じろぎするたびに木が擦れ合ったような高い音を立てる。
ここはルーマニア。
「今日から、新しい任務だ・・・」
部屋にかかった古ぼけた時計を見上げると、6時であった。
中途半端に古い、果物の静物画が色あせた壁に掛けられているのが視界に映る。
この青年の名前は「Z(ツェット)」。
緩いウエーブのかかる金髪を短めに整えた、碧眼の、どちらかというと
ハンサムな青年だ。
無論「Z」というのは本名ではなく、ドイツにあるNATO情報部に勤務する
彼の通称名であった。
彼の上司はクラウス・フォン・エーベルバッハ少佐と言い、
「鉄のクラウス」と呼ばれる程の厳しい上司だ。
そして彼の部下はA(アー)からZ(ツェット)までの26人で、
Aが最古参、彼はZ、だから部下の中でも一番新人のぺーぺーと言うことになる。
古風な形の電話がけたたましい音を立てる。
ツェットはあわてて起きあがり、受話器へ飛びつく。
電話の声の主は・・・彼の上司、エーベルバッハ少佐だった。
「少佐、おはようございま・・」
「おまえまだそこにいたのか?」
「えっ、あっ、すみません!すぐに支度して出発します」
「よろしい。上層部のよた話にいつまでもつきあっとらんで、早く帰ってこい!!
仕事は山積みだ。今すぐだぞ」
「はい、出来るだけ速やかに任務を終えてそちらへ戻るつもりです」
「はあ?!お前の報告書はもうこっちに届いているぞ。
その他に、そこで何かする事があるのか?」
「・・・え?」
・・・おかしい。
ツェットは少佐と話がかみ合っていない事に気づいた。
任務は終了ではない。今日、今からのはずだ!
「ですが今日からカルロファミリーの内偵をせよとの任務を・・」
言葉の途中で、電話口の向こうで少佐がいらいらとため息を付いたような気がし、
ツェットは言葉尻を濁した。
「お前はまだ目が覚めておらんようだな。
何を考えている!!任務はとっくに昨夜終わってるだろう!」
案の定、少佐の怒号が受話器から轟く。
「えっ・・・」
あわてて腕時計のカレンダーを見る
日付は・・・11月27日。
(どういうことだ!?確か昨日はまだ10月だったはずじゃ・・・)
そういえばなんとなく肌寒い。
ツェットは呆然とし、受話器を見つめている。
「早く荷物をまとめてボンまで帰ってこい!!おまえまでよたってどうする!
頭を冷やしにアラスカへ行くか!?」
「いっ、いえ!すぐに帰国します!!」
あわてて電話口で敬礼をすると、ブツッと威勢のいい音で電話が切れた。
(わからない・・・わからない。一体どういうことなんだ・・・!?)
私は狂ってしまったのだろうか?
跳ね上がる心臓を抑えつつ、部下ツェットはサイドテーブルに駆け寄り、
その下に置かれた鞄の隠しポケットを探る。
出てきたのは・・・携帯のパソコンだ。彼はそれに急いでスイッチを入れた。
最近、指令についての報告書はメールで送ることになっていた。
報告書を電子化し、作業の効率化を図っている。
もちろん、それらは通信・読み書き共に幾重にも厳重に暗号化がなされている。
何桁にも及ぶ暗号を入力し、報告書のファイルフォルダを開ける。
そこに、空のフォルダのはずのディレクトリ・・・今回の指令用がひとつ。
(?)
そこに何かファイルが存在する情報を認め、ツェットはうろたえた。
震える手でポインティングデバイスを使い中身を開ける。
「なんだ、これは!!」
見たことのないファイル。
『カルロファミリーのボス「ダーク=カルロ」の超能力保有疑惑について』
調査結果は・・・
つらつらと文章が並んでいるのを目で追いかける。
”ただの噂に過ぎない。”
”カリスマ的統率能力”
”射撃能力が人並み外れて優れている程度”
そんな言葉が並んでいる。
(・・・なんなんだ、この報告書は!!?)
こんな物を書いた覚えはないのに。
だが、確かに電子署名は自分の名前が書かれている。
何度見ても、その文章は消えることがない。
目は見開き、画面に釘付けになったまま。
身体から一斉に冷や汗が噴き出てくる。
・・・こんなもの、僕は知らない!!
一体、僕はどうしてしまったのか・・・!?
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