『蘭世ちゃんのヰタ・セクスアリス』

☆やはりこちらも『パラレルトゥナイト』と同じ設定になってます。
☆それらをご了解の上お読み下さいねv

(1)ピローパーティ


11月初旬の放課後。
・・・そう、蘭世がまだカルロと出逢って日が浅い頃・・・。
蘭世はタティアナや寮の友達と一緒に
学校近くの喫茶店へ繰り出した。
みんなで新しいケーキセットを食べてあれこれ歓談する。
そのうち、話が大いに盛り上がって夕食後も集まることになった。
総勢8人ほど。
寮は蘭世達中学部と高等部の合同なので、
高校生が4人、中学生が4人といった構成。
ただ、蘭世は年だけは高校生と同じ15歳なのだが。
4人部屋に集まり、2人ずつベッドの上に寝転がり、昼に買ってきた
クッキーをつまみながらわいわいおしゃべり。
やがて消灯時間が来るが、それでもこっそり、話に花が咲く。
夜が深くなるに連れ、話は恋愛の話へとディープに流れていった。

高等部ともなると、彼氏がいる学生が結構いる。
あの子は誰と噂だ、とかあの二人はつきあっているらしい、とか。
中には大学部の男子学生とつきあっている女生徒も。
「ねえねえ、イリナ〜。あれからイオ先輩とどうなったの?」
「ふっふっふ〜良く聞いてくれたわね!」
8人の中でもひときわ女っぽい”イリナ”と呼ばれた女生徒は
嬉しげに彼との経験を話す。
「ついに1線越えたわよ〜」
「きゃあ〜〜〜!!」
女生徒達はもう大興奮。
知らない世界。新しい刺激。
「しーっ!!先生に見つかっちゃうわよ」
イリナはそう言ってたしなめはするがそれでも得意げだ。

その後彼女はいつ、どんなふうに、など細かく話し出した。
「一度許しちゃうとねー、
次からはそれ無しではいられないって感じでー」
「なんだかがっついた感じがして
 ちょっとがっかりなんだけどおー」
もうみんな耳を最大限にすましてイリナの話を聞く。
蘭世もその中に混じって、にこにこと話を聞いていた。
ルーマニアに留学して2ヶ月。
なんとかルーマニア語での話が聞き取れるようになり、
自分の意思表示もひととおりできる。
でも、よくわからない言葉も多いので大抵はにこにこと聞いて
困ったときは素直に皆に聞くことにしていた。

「・・・ねえ、ちょっと待ってよ。」
突然イリナが蘭世の方を向き、話題を変えた。
「私の話ばっかりだけど、ねえ、蘭世。あなたのほうが私よりも
数倍イロイロ経験してるんじゃないの?」
「あーっ!そうよねえー!!」
皆がそれに賛同する。

「えっ?ええっ??」
蘭世は突然話題を振られてあわててしまった。
「ほら!あなたの王子様よ!ダーク=カルロ!!」
タティアナがにこにこと意味ありげに笑いながら
蘭世を横からつついた。
「会ったその日にキスしたのまでは聞いたわよ!
 あれからどうなったの?
白状しなさいよお〜!」
皆が好奇の視線を一斉掃射してくる。
蘭世はそれに耐えきれなくなり、
もごもごと口ごもり下を向いてしまった。

「あれからどうって・・・週に3日位会ってるわ」
きゃあー待ってましたとばかりに皆が沸く。
「それからそれから?」
「それからって・・・一緒に食事したり旅行したり・・・」
「旅行!!で、一緒にホテルで泊まったの?」
それに蘭世はまだピンとこない。
「ううん・・!いつも日帰りだし。」
「ええー?とぼけちゃだめよ〜。」
イリナが鋭くつっこむ。
「ホテルのベッドの上でもういいことしたんでしょ?」
「いいこと????」
「もうううー!」

蘭世のお間抜けな返答に一同はがっかりだ。
「ね、蘭世。・・・言葉通じてるわよね?
キスより関係が深くなったら何するかくらい
当然知ってるわよね!?あなただって15歳なんだから。」

イリナはじれったそうだ。
何しろ、蘭世の相手は大人の男性なのだ。
しかもマフィアのボスと噂されている男である。
何か無いはずがない、と考えるのが普通だろう。
「うーん・・・ごめん、どうなるのかな、教えて。」
蘭世はいつものにっこり教えて攻撃だ。
「はあ!?」
これには更に一同はずっこけてしまった。
「ちょっと・・・日本て、いくつから性教育するの?」
「遅れすぎじゃない?」
・・・日本が悪いわけではない。
当然日本でも性教育は小学校からきっちりやっている。
だが、蘭世はルーマニアに留学する今年までは学校へも行かず、
14年間ずっと家にいたのだ。
当然そういった教育も受けたことがない。
椎羅もまだまだそんな話は先だと思い特に教えていなかったのだ。

皆はどうしよう・・・と顔を見合わせた。
「ねえ。蘭世が解ってないだけで彼はイロイロしているかもよ」
「それをどうやってこの脳天気お嬢さんから聞き出すのよ?」

イリナがこほん、とひとつ咳をして蘭世に質問を始めた。
「ねえ?、あなた、彼の前で裸になったことある?」
「ええっ!!!」
蘭世は顔を真っ赤にして首を左右にぶんぶん!と振った。
「なあんだあー。」「ちょっとがっかり?」
オーディエンスは不服そうだ。
「でもっ。蘭世の胸とかお尻とかさわったことあるでしょ?」
イリナは食い下がる。
「・・・ううん・・・抱き寄せてくれたりとかは、
しょっちゅうだけど・・・」
今度は不安げにゆるゆると首を振る。
「ちょっとおー!」
「それっておかしいよ絶対!!」
皆がブーイングを出して騒ぎだす。

「静かに静かに〜!!」
今度はタティアナが皆を諭す。
それでもイリナは意見する。
「普通はそれなりに進んだら裸で抱き合ったりするでしょー。ねえ、
それってーひょっとしてー蘭世がまだ子供だから
女性扱いしてないって事!?」
イリナの暴言を聞いて蘭世は表情を固くした。
「何言ってるのよ!きっと彼は蘭世の事が大事なのよ!!
失礼しちゃうわ。ねぇ蘭世!」
タティアナはキッとイリナをにらんで応戦する。

「う・・」
(子供だから・・・?!)
蘭世はショックで顔が青い。
「このぶんだと、蘭世、あなたその先のことも知らないわね!?」
イリナがまた畳みかける。
「その先・・・?」
もう蘭世の目は今にも涙がこぼれそうだ。
「どうなるの・・・?」
この質問にはさすがのイリナもダイレクトには答えられない。
やっぱり花の17歳、まだまだ乙女達なのだ。
「やっ・・・やあねえ!そんなことは彼氏に
 手取り足取り教えてもらいなさい!」
「きゃあーっやーん!!」
またまた蘭世の周囲から黄色い声があがった。

「ねえねえ。でも女を抱きたくなる衝動って、
男は押さえにくいって聞いたわよ〜」
他の高校生が横やりを入れる。
イリナはそれを聞き、ちょっと意地悪そうな笑みを浮かべた。
眉目秀麗の男性とつきあっている蘭世が
少しねたましくもあるイリナだ。

「そうねえ・・・ひょっとしてダーク=カルロは
女には不自由してないのかしら?」
それを聞いてさらに固まる蘭世。
代わりにタティアナが怒った。
「先輩とはいえあなた失礼ね!」
イリナは平然とした顔だ。
「だって。あなただって知ってるでしょ?
 ダーク=カルロには取り巻きが一杯いるって噂」
蘭世は顔を真っ赤にして涙を目に一杯ためている。
そんな蘭世にイリナはさらに近づき、顔をのぞき込む。
「ひょっとして蘭世、からかわれてるだけじゃない?
 悪いことは言わないわ、今のうちに危ない男はやめておいたほうが
 あなたのためよ。」
「・・・」
「蘭世!もう部屋に戻ろう!!先輩方お休みなさい!!」
タティアナは蘭世をかばうようにして肩を抱き4人部屋から退出した。


二人は自分たちの部屋に戻ってきた。
蘭世は着いた早々ベッドに潜り込み、壁の方を向いたままだった。
声を殺して泣いているらしい。
「・・・蘭世。あんなの気にしちゃダメよ!!」
タティアナは悲しそうな蘭世を見て彼女の枕元に座り、
励まそうと躍起だ。
「先輩達は蘭世にやきもち焼いてるのよ!
あなたの彼はとっても素敵な人だから。」
・・・蘭世は身じろぎもしない。
「彼の気持ちに絶対自信ある、ってあなた言ってたじゃない!」
「ねえタティアナ・・・」
蘭世がやっと口を開いた。
「私、やっぱり、子供っぽいかな・・・?」
「蘭世!ダメよ自信を持ちなさい!」
蘭世はいやいやをする。
「女の人が周りに一杯いる、て本当?」
「・・・蘭世。あれは噂よ!」
タティアナはため息をついて蘭世の頭をなでた。
「それはいつも彼と一緒にいる蘭世が一番良く知っているんじゃない?
彼を信じてあげなさいよ」
タティアナの精一杯の励ましだ。

蘭世は寝返りを打ち、天井を見上げた。
その目は涙ではれぼったい。
(私・・・よく考えたら、彼の事あまり知らない・・・)
「・・・」
蘭世は黙ってそんなことを思っていた。
(私が学校に行っている間、カルロ様はどんな事してるのかな・・・)

「さっ。今日はもう忘れて寝ましょ!お休み!」
タティアナもベッドに入り、部屋の電気を消した。



つづく


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