『パラレルトゥナイト:第2章 第3話』



(2)真相

 ここはカルロ家の領地内にある謎の遺跡の中である。
「・・・見える!見えるわ!!」
サリは思わず喜び叫んだ。
魔界の古代文字が次々と古書に浮かび上がる。
それらの文字をサリは注意深く原稿に書き写していく。
そして小一時間。

「間違えていませんように!!!」

ジャン=カルロのロードショウが彼らの夢の中で始まっていた。

世界の始まり。そして5つに割れる石の話。

ジャンとランジェの運命の出逢い。

『私の妻になるのは、おまえしかいないのだ・・・』
そういって抱き合う二人を見て、蘭世は目がもううるうるだ。
両手を組み合わせて嬉々としている。
(いいよぉ〜カルロ様にそう言われてるみたいっ!)
そんな蘭世をちらちらと望里達は横目で見ている。
(・・・やっぱり〜。)

アレン王子の歪んだ思いとそれにつけ込む冥王ノーゼ。

ジャンとランジェの結婚式の日、突然太陽の光を吸い込む指輪が画面に映った。

「ダーク!あの指輪!!」
「あれは!」
カルロと蘭世は自分の指にはまった指輪がそれと同じ物であると気づいた。
(それでこの指輪は不思議な力を持っているのね・・・。)

混乱する結婚式会場に紛れ、ランジェを拉致するアレン。
ベッドに横たわる意識のない花嫁。その顎にアレンの手が伸びる。
『めちゃくちゃにしてやる・・・』

「い・・・いやっ!!」
自分とそっくりの花嫁が陵辱されようとしているのだ。
強いショックが蘭世を襲い、思わず頭を抱える。
「ランゼ!見てはいけない」
カルロはすかさず蘭世を腕の中に隠し、画面からその瞳を遠ざけさせた。

『ランジェ!!』
その場は想いが池からテレポートしてきたジャンによって救われていた。

冥界の入り口へ向かうジャン、そして冥王達を氷で封印。

封印に力を使い果たし人間になったジャンは、人間界へ行くことを決める。
『あなたが行くということは、私も行くということです。』
そう言ってランジェも魔女ヘガーテの元へ行き人間になる。
『お子が宿っておる・・・母が人間になっても子は魔界人のまま。
 それでも良いのか?』
『はい・・・。』

そうしてジャンとランジェの子供は魔界人のまま人間界で生を受ける事になったのだった。
その末裔が、ダーク=カルロと言うことになる。
「・・・。」
カルロは、自分の血筋の真相を知り心を打たれていた。
どんなに切ない思いであの二人は人間界へ下ったのだろうか。
そして、カルロ家を永く支えてきたこの能力は、かのランジェの
「Yes」によってもたらされたことを知り胸を熱くするのである。

『この事実は、いつか知るべき者に知らされる日が来ると 信じている・・・』


「あ・・・」

一同は目を覚ました。
蘭世はカルロの隣に座っていたが、落ち着かず周りを見回していた。
(俊君は・・・?!)
母ターナの隣に俊は座っていた。
ターナは静かに涙を流し、12歳の俊のまだ細い肩を抱いていた。
俊はすこし俯いて黙ったままであった。

それぞれに重たい気持ちを抱えながら、一同は遺跡を後にした。
望里は一応、冥王を封印していた護符のような2重十字架を持ち出した。

ジャン=カルロの戦記を見た翌日、12歳の俊は16歳へ戻っていた。


つづく


Next  

閉じてメニューへ戻る
◇小説&イラストへ◇