『パラレルトゥナイト第3章:第5話:指輪の意味』



(0)導入話〜指輪の意味


−夢−
そこは真っ白な空間だった。

今までは、泉があったり想い出の場所であったり、
空間に意味が付加されていたが、今日のこの場所は そのいずれでも無かった。

そしてそこに、眠ったときそのままネグリジェ姿の蘭世と
白いスーツを着たカルロの姿が浮かび上がっていた。

「ランゼ よく聞きなさい・・・」
カルロの声はいつもよりもどこか遠い存在に思える。
すぐ目の前に彼の姿はあるというのに。

「5つの石にはそれぞれ意味があり、持つ者により その石は良くも悪くも働くのだ」
蘭世は空間の中央に座り、カルロを見上げ、じっとその言葉を聞いていた。
「1つめは”水”の石。 お前が持っていた指輪だ。
 これは今俊が持っているお守りの中に入っている。
 海 川 雨などを司り根本は”愛情”だ」
 「えっ!?」
(それで、銃弾や炎から真壁君を守ったりできたのね・・・)

2つ目は”地”の石。根本は”信頼”。

”風”の石、”火”の石、そして ”命”の石・・・。

”火の石 と 風の石 をゾーンに渡してはならない・・・!”

カルロの口から朗々とそれらの石について語られる。
「ダーク・・・それは、生命の神様からの伝言なの・・・?」
「ランゼ・・・」
カルロの手がそっと蘭世の頬に添えられる。
「今、私には何の力もないが、こうして警告を与えることは出来る。
そして、いつもお前達を見守っているよ・・・」
そうして次第にカルロの影は薄くなっていく。
「ダーク!」
”待って!”
蘭世が思わずそう叫ぼうとしたとき。
夢は終わり、蘭世はベッドから飛び起きていた。

「5つの 石・・・」
蘭世は思わず独り言をつぶやく。
(ああ、一度に沢山言われて、・・・覚えていられるかしら!?)

その日、魔界で冥王の指輪が何者かに盗まれたことが江藤家に伝えられる。
そして、カルロが蘭世に贈った”王の指輪”は今俊の持っているお守りの中に忍ばせてある事が解った。
蘭世も、皆もてっきり指輪は王家に引き取られていると思っていた。
大王が密かに施していたことだった。
(それで真壁君を爆発や銃弾から守ることが出来たのね・・・!)

(これから、何が起きるのかしら・・・!?)
蘭世は天空の月を見つめ、石の意味に想いをはせるのだった。


つづく


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