ご注意:
カルロ×蘭世 のお話です。
さらには拙宅の『パラレルトゥナイト』の番外編で書いていますので
そのあたりを了承されたうえで お読み下さい。




『冬のまどろみ 春への惑い』

(後編)


「あら・・今日はお泊まりしていって頂こうと思っていたけど お迎えが来たようね」
使用人のひとりがそっと女主人に耳打ちをすると 彼女はすこし残念そう

「えっ」

蘭世があわてて窓辺へ駆け寄ると、外には見覚えのある黒塗りの自動車。

再びの使用人の連絡に、「少し待っていただいて」と女主人は短く答える

「今夜はこの家にお泊まりなさってもいいのですよ。」
「・・・ありがとうございます。でも・・・」
・・・少し元気になったら ダークに会いたくなっちゃった。
そんなふうに思った蘭世は もういちど感謝の挨拶。
「ありがとうございます。おかげで元気になりました!」
そう言って蘭世はぺこりと頭を下げた

「また・・遊びに来ても良いですか?」
「ええ勿論!是非来て欲しいわ」

その言葉ににっこりすると、女主人は使用人にまた短く指示を出す
扉が開かれると、すぐそこにカルロと・・・部下、くだんの部下達が現れた
よくよく見れば そこにいる部下の誰もが 頬にあざをこしらえて・・・
どうやらボスに殴られたらしい。
本当なら撃ち殺したいくらいだが 蘭世がそれを知れば悲しむだろうし
部下達もファミリーの未来を案じての話題であるから この程度となったらしい
飛び出していった蘭世を 部下たちが総動員で行方を探し ここをつきとめたようだ。

「ランゼ!」
「ランゼ様っ ももっ 申し訳ありませんでした!」
カルロは周囲の目もはばからず蘭世に駆け寄りひしと抱きしめて
部下達はその場で・・・日本の風習に合わせて・・土下座。

「悲しい思いをさせてすまない・・話は聞いた」
「ダーク・・・!」
そう言いながら頭をなで 頬を寄せてくれる
もうそれだけで 蘭世は 彼が自分のいたみを判ってくれてる気がして
涙目になってくる

「軽々しいことを口にして 申し訳ありません!」
「そうね、もう少し温かい目で見守って欲しいですわね」

食事中に蘭世からもう少し事情を聞いていた女主人も、ちくりと釘を差す。
その言葉に、どこまでも気のいい蘭世は慌てる
「いいのっ・・私が立ち聞きしちゃっただけだから・・」
「ランゼ、お前はそんなに簡単に許さなくても良いんだ」
どこまでも擁護してくれる姿勢のその言葉に 蘭世の心に小さな明かりが灯る
「ランゼ。」
蘭世を抱きしめながら カルロは言葉を紡ぐ
「まず言わせてくれ・・・私はお前を愛している」
「ダーク・・」
「お前と私の間の子は 必ず出来る。何も心配は要らない」
「でも・・・」
(もし私が未成熟で 子供が出来なかったら?)
そんな嫌な心配事が どうしても蘭世の心をよぎっていく
「ランゼ。」
カルロは首を振る。
「もしたとえその事で問題がおきても 私はそれを乗り越えることができる。
 後継者争いなど起こさせはしない。私を信じなさい。お前は何も心配しなくて良いんだ」
「あ・・・」
そうよね、ダークはすごい人だもの。
「私はお前を傷つけるものを許さない・・・私を もういちど信じてくれないか」
「う・・ダークゥ・・!」

そのあとは おいおい、おいおいと蘭世は泣き崩れて
それは勿論ほっ と安心して 心の糸がぷつんと切れたから
私もダークをとっても愛しているの、見放さないでね と 泣きじゃくる間に言えば
ますますカルロの抱きしめる腕の力も強くなり。

暴言を吐いた部下達とは別の車に乗り込んで(当然の話だが)
蘭世は女主人に笑顔で手を振り別れた。
もう、次に遊びに行く約束も しっかりとりつけて。


舞い散る雪の中 車は家路へと向かう
しばらくして、カルロが蘭世の耳元へ口を寄せた
「それに・・私は もうすこしお前と二人きりがいいんだ」
耳元でそっと囁く彼の言葉に 蘭世は目を丸くして 思わず彼の顔を見上げる
「え?・・・」
思わず耳を疑い聞き返せば、やっぱりまた同じ台詞。
「本当に?」
「・・・部下達には 内緒だ」
ふふ、と いたずらっぽい笑顔の・・彼にしては珍しい表情に それが本音だと思えて
蘭世は2度目の驚き。

車は雪道を進み行く。
春はまだ先でいいのさ、とつぶやくカルロに蘭世は肩を寄せる
その小さい肩にカルロは腕をまわして彼女をきゅっと引き寄せて



了。







あとがきです。

当サイトのカルロ様と蘭世ちゃんの間には、結婚4年目にして漸く子供が出来るという
設定があるんです。それをふまえて今回のリクエストは頂きました。
硝子様、いつも本当にありがとうございますm(_ _)m。

”お子さんは?”って せかされるの いやですよね。
欲しいのになかなかできないときは 特に・・!
そんなところを蘭世ちゃんとカルロ様はどうするのかしら・・ということで
中編ですが まとめてみました。
うまく表現し切れてないところも多々あるんですが;
終わってみればほんわか幸せムードになって ほぅ^^
硝子様には・・マダム・グレースとして登場していただいた・・・つもりです えへへ。

素敵なリクエストを、ありがとうございました。
私から(硝子様そして皆様へ)の ささやかな クリスマスプレゼントです・・・^^

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−悠里 拝

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